日本橋図書館がおすすめする今月の本
2010年04月09日(金)  檸檬 梶井基次郎/著(新潮社)
book03.jpg 200×283 17K対象:一般

あらすじ
 主人公の私は、「えたいの知れない不吉」を抱え、途方に暮れ、京都の街をさまよい歩きます。
 ある日、果物店でレモンを見つけその美しさにひかれ1つだけ買います。次に丸善に行き、レモンを爆弾に見立てて置いて、そして、街に戻っていきます。

=====おすすめコメント=====
「レモン」を置いて帰るという短い話で、短いわりには複雑な小説といえます。
 この作品は梶井基次郎が大正11年に21歳のときに書いた小説です。
 当時、梶井は結核のため体調不良から、放蕩を続けていました。そうした精神状態がこの小説に反映されています。

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)

2010年03月12日(金)  食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字<上> 山田真哉/著 (光文社)
book02.jpg 170×271 25K対象:一般

あらすじ
この本では、数字を意識することで、数字がうまくなるコツを具体的にご紹介していきます。数字がうまくなれば、ビジネスや、家計のやりくりが上手になれる上に、「会計」が得意になれることを解りやすく解説しています。

=====おすすめコメント=====
ミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者が、新書のタイトルの数字など身近な数字を引合いに、その隠れた意味や意外な使われ方について分析しています。 数字や会計についてクイズを解きながら楽しく学べます。

2010年02月12日(金)  代表的日本人 内村鑑三/著 岬龍一郎/訳(PHPエディターズ・グループ)
grp0408185236.jpg 200×286 18K対象:一般

あらすじ
 日本人の特性を日本の歴史上の人物を通じて海外に知らせるために英語で書かれた本です。
 西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮、の5人の偉人についてキリスト教信者としての視点から紹介しています。
 近代の西洋文明を、安易に受け入れた、近代日本文明を批判し、日本人も西洋人に劣らない事を主張しています。

=====おすすめコメント=====
 ジョン・F・ケネディが米国大統領になった時、「日本で一番尊敬する人物は?」と聞かれ「上杉鷹山」答えたそうです。ケネディもこの「代表的日本人」を読んでいたのかもしれません。
 今日、多くの経済学者や政治家が日本型企業を否定し、米国の市場原理主義に追従し未曾有の大不況を招いた事を著者が生きていたらどう思うでしょうか?
 日本人としての誇りを持つ意味でも、ぜひ一読してください。

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)

2010年01月08日(金)  ゆっくり東京女子マラソン 干刈あがた/著(朝日文庫)
対象:一般

あらすじ
 物語は、3年1組最後の父母会で次の年のクラス役員を決めるシーンから始まります。特に積極的ではないけれど、案外スムーズに役員が決まっていく展開をちょっと意外に感じながら読んでいくうちに登場人物に好感を持ってしまいます。役員を引き受けた4人の主婦は、その後クラスに起こる様々な問題に翻弄されることになるのですが、まったく気負うことなく、自分たちのやり方で実に丁寧に対応をしていきます。その間それぞれの家庭の事情や子ども達との関係が、自然にかつユーモラスに描かれています。そして最後は4人の主婦が東京女子マラソンを見ながら、同時代を生きる女性として選手にエールを送るところで終わります。
 「これからは女性の時代」になるという予感を感じられる小説です。作品が書かれたのは25年前ですが今でも面白く読める一冊です。
 蛇足ですが1979年に始まった東京国際女子マラソンは女性のフルマラソンが初めて公認された大会です。それまでは42.195kmは女性には過酷すぎるといわれていたとか・・・
女性をめぐる情況はずいぶん変化がありますが、益々元気になる女性への応援歌です。

=====おすすめコメント=====
 作者の干刈あがたさんをご存知ですか?
『樹下の家族』でデビューし10年後の49歳でこの世を去ってしまいました。
女性の自立、人間同士の新しい絆をテーマにして家族・教育・老いの問題など幅広い作品を残してくれました。ストレートだけれども優しさのある会話、切なさ辛さを乗り越えた明るさが大好きです!すでに品切れ、絶版になった作品も多いですが、こんな時は図書館の出番です。図書館ですてきな1冊と出会ってください。お待ちしています!

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)
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2009年12月11日(金)  ショージ君のALWAYS 東海林さだおが昭和を懐かしむ(東海林さだお/著)
発行:集英社インターナショナル刊
発売:集英社

対象:一般

あらすじ
 今は、見かけることのなくなった、昭和の風景を『食べ物』『場所』『ヒト』『モノ』に分けて当時ほとんどの人が体験したことを、絵と文章でユーモアたっぷりにに描かれている。表紙の昭和30年頃の子どもの写真が、その時代の雰囲気を醸し出している。著者の文庫本、単行本収録のエッセイを再編集したものに、なぎら健壱氏との特別対談「ぼくらの昭和」を収録。
 対談では二人とも、子どもの頃の思い出を熱く語っています。

=====おすすめコメント=====

 読んでいると、その時代が昨日のことのように思い出される場面もあり、思わず「あった、あった」「いた、いた」「見た、見た」と言ってしまいます。ショージ君シリーズをはじめ、著者のエッセイはどれをとっても楽しめますが、昔を思い出すにはおすすめの一冊です。
(日本橋図書館 山本佳代子さん)

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)
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2009年11月13日(金)  あの電車を救え〜親友、岸 由一郎とともに〜 笹田昌宏/著(JTBパブリッシング刊)
対象:一般

あらすじ
「岩手・宮城内陸地震」で亡くなった鉄道博物館の学芸員、岸由一郎さん(享年35歳)の軌跡を綴った本です。全国の鉄道で廃止になり、朽果てていく施設や車両には文化的な遺産として保存する価値の高い物がたくさんあります。また、幸運に保存されても屋外展示のために荒廃の末に解体撤去されるものもあります。岸さんは、その保存のために関係者への働きかけはもとより、ボランティア作業による車両の補修等を通じて人々の心を動かし、幾つもの鉄道施設跡や廃車両を保存・公開しに持込みました。運命の日、彼は「くりはら田園鉄道」廃止後の施設や車両の保存・活用に向けて奔走していました。

=====おすすめコメント=====

鉄道を愛してやまず。
プロの学芸員として資料に対する真摯な姿勢や鉄道に対する愛情が著者の文章を通じて伝わってきました。地道な活動とその成果については、鉄道ファンに限らず、多くの方に知っていただきたいと思います。
(日本橋図書館 松本麻夫さん)

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2009年10月09日(金)  居眠り磐音 江戸双紙  佐伯泰英/ 著(双葉社 刊)
対象:一般

あらすじ
時は、江戸中期。豊後関前藩の国家老の嫡男である坂崎磐音は、藩の守旧派の仕掛けた罠に陥り、藩を後にし、江戸は深川六間掘りの長屋で浪人暮らしを始める。生活のため深川「宮戸川」で鰻割きの仕事をしながら、日本橋米沢町の両替商「今津屋」の用心棒の仕事を紹介してもらうが、次々と大事件に巻き込まれていく。刀身2尺7寸(82cm)の愛刀・備前包平(かねひら)を手に、波乱の幕開けである。

=====おすすめコメント=====

坂崎磐音の「居眠り剣法」が悪を懲らしめる!
剣あり、恋ありの痛快時代劇小説です。
(日本橋図書館 池田博光さん)

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2009年09月11日(金)  リピート 乾くるみ/ 著(文藝春秋 刊)
対象:高校生以上

あらすじ
ある日、圭介のもとに見知らぬ男から「1時間後に地震がある」と謎の電話がかかってくる。本当に地震が起き、驚く圭介に謎の電話の男・風間は、現在の記憶をもちながら10ヶ月前に戻れるリピート(時間旅行)をしないかと誘う。圭介は悩んだ末に誘いに乗ってしまう…。風間に集められた圭介達9人は過去に戻り、そして次々と謎の死をとげていくのだった。

=====おすすめコメント=====

驚きのラストに注目です!!
テンポのよいストーリーにどんどんひきこまれてしまいます。誰が犯人なのか、迫りくる恐怖にスリル満点です。
(日本橋図書館 篠田早苗さん)

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2009年08月21日(金)  火怨―北の燿星アテルイ 高橋克彦/ 著(講談社)
対象:高校生以上

あらすじ
陸奥の地で、辺境の民と蔑まれながらも平和に暮らしていた蝦夷。しかし大量の黄金が産出されたことで、大和朝廷は陸奥の支配に乗り出した。蝦夷を卑しい者として簒奪を繰り返し、力で征服しようとする朝廷に対し、自らの誇りと自由を守るべく蝦夷が立ち上がった。蝦夷を率いる若きリーダー・阿弖流(あてる)為(い)と、深い絆で結ばれた仲間たち。彼らが朝廷に勝つ策はただ一つ、一度たりとも負けないことだけ―。

=====おすすめコメント=====

熱い思いと仲間たちの絆に涙!!
圧倒的な兵力を持って攻めてくる朝廷軍に対し、知略を巡らせ勝利をおさめていく阿弖流為たちの姿は読んでいてとても爽快です。自分たちの土地と暮らし、そして何より蝦夷の心を守るために戦う熱い姿に、感動せずにはいられません!
(日本橋図書館 河野理紗さん)

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)
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2009年07月17日(金)  わたしを離さないで カズオ・イシグロ/ 著(早川書房)
対象:高校生以上

あらすじ
生まれてからずっと、全寮制の施設ヘールシャムで育ったキャシー。外とのつながりが一切遮断されたヘールシャムでは、身体測定が毎週行われ、図工で良い作品を作らせるなど、不可解なことがたくさん行われていた。保護官と呼ばれる教師たちも、何かを隠しているようで…。成長するにつれ明らかになるヘールシャムの実態と、彼女たちの残酷な運命とは?

=====おすすめコメント=====

衝撃的な内容です!!
読み進めるうちに、「もしかして、ヘールシャムの生徒たちって…」という謎に思い当たります。残酷な事実と、その運命を受け入れるしかない彼女たちの思い…胸がしめつけられます。
(日本橋図書館 市川智子さん)

●問合せ:日本橋図書館(03-3669-6207)
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