2010年01月08日(金)
ゆっくり東京女子マラソン 干刈あがた/著(朝日文庫)
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対象:一般
あらすじ 物語は、3年1組最後の父母会で次の年のクラス役員を決めるシーンから始まります。特に積極的ではないけれど、案外スムーズに役員が決まっていく展開をちょっと意外に感じながら読んでいくうちに登場人物に好感を持ってしまいます。役員を引き受けた4人の主婦は、その後クラスに起こる様々な問題に翻弄されることになるのですが、まったく気負うことなく、自分たちのやり方で実に丁寧に対応をしていきます。その間それぞれの家庭の事情や子ども達との関係が、自然にかつユーモラスに描かれています。そして最後は4人の主婦が東京女子マラソンを見ながら、同時代を生きる女性として選手にエールを送るところで終わります。 「これからは女性の時代」になるという予感を感じられる小説です。作品が書かれたのは25年前ですが今でも面白く読める一冊です。 蛇足ですが1979年に始まった東京国際女子マラソンは女性のフルマラソンが初めて公認された大会です。それまでは42.195kmは女性には過酷すぎるといわれていたとか・・・ 女性をめぐる情況はずいぶん変化がありますが、益々元気になる女性への応援歌です。
=====おすすめコメント===== 作者の干刈あがたさんをご存知ですか? 『樹下の家族』でデビューし10年後の49歳でこの世を去ってしまいました。 女性の自立、人間同士の新しい絆をテーマにして家族・教育・老いの問題など幅広い作品を残してくれました。ストレートだけれども優しさのある会話、切なさ辛さを乗り越えた明るさが大好きです!すでに品切れ、絶版になった作品も多いですが、こんな時は図書館の出番です。図書館ですてきな1冊と出会ってください。お待ちしています!
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